脾臓の働き

正常な脾臓の生理的な役割は以下に示すようなものである。
①寿命となった、または欠陥のある赤血球を、赤脾髄において除去し、赤血球の質を保つ。
②白脾髄で抗体を産生する。
③抗体で被覆された細菌や血球を循環から除去する。

また、正常な脾臓は、全血小板のほぼ3分の1と、相当の数の血管外好中球を含有する。
このような非循環細胞は、出血または感染時に必要に応じて利用される。

脾の欠損が血液像に与える長期的な影響は非常に少ない。
脾摘がおよぼす最も深刻な影響は、細菌感染症に対する感受性が増すことであり、特に肺炎球菌、インフルエンザ菌、それといっくつかのグラム陰性腸内細菌など莢膜を有する細菌が問題となる。
細菌感染に対する感受性は、オプソニン化された細菌を血流から除去できないことや、細菌莢膜の多糖成分のような、T細胞から独立した抗原に対する抗体産生が欠如することと関連する。
ハリソン日本語版第1版 p.369-372