感染、炎症、多臓器障害

炎症反応とは、加えられる侵襲から宿主を防御する作用である。しかし、宿主を損傷することもある。
炎症反応は、種々の宿主の組織を損傷する有害物質(タンパク分解酵素酵素代謝物など)を産生する。この損傷は炎症によって産生された有害物質を抑制したり、不活化したりする内因性物質によって防御されるが、炎症反応が宿主のための正常な防御機構を凌駕すると宿主の組織を攻撃する。

SIRS患者に、1つまたはそれ以上の臓器障害が見られた場合、多臓器機能障害症候群、multiple organ dysfunction syndrome (MODS)と呼ばれる。
主に障害される臓器は、肺、腎臓、心血管系や中枢神経系である。
MODSの死亡率は障害されている臓器数に直線的に相関する。
MODSは炎症によって誘導される障害で、感染は必須ではない。

血中の好中球の活性化が、炎症性臓器障害において重要な役割を果たす。
血管内皮細胞や好中球の表面上の接着因子が、血管内皮への好中球の接着を促す。

一度接着すると、活性化された好中球がその細胞質内の顆粒の内容を放出し、血管内皮を損傷する。
血管内皮が損傷を受けると、血漿中の物質や炎症性メディエータが組織実質に浸透する。
そして、炎症性メディエータにより、多臓器障害が起きる。

<学術名の整理>
発熱+白血球増多=SIRS
SIRS+感染=敗血症
敗血症+多臓器障害=重症敗血症
重症敗血症+難治性低血圧=敗血症性ショック

ICUブック P.414-417