重症敗血症と敗血症性ショック

重症敗血症と敗血症性ショックは、感染が原因で多臓器障害をきたした状態である。
この2つの状態の唯一の違いは、敗血症性ショックにおける輸液療法に反応しない低血圧の存在である。
重症敗血症や敗血症性ショックは、末梢での酸素摂取能障害が特徴的である。
ここでの高乳酸血症は、組織の酸素不足が原因ではなく、ピルビン酸の代謝障害が原因かもしれない。
敗血症が疑われた場合、菌が同定されるまでは、
バンコマイシンブドウ球菌類、腸球菌類やレンサ球菌類)と、
アズトレオナム、またはアミノグリコシド(グラム陰性腸内細菌をカバー)の併用を
考慮する。
腸由来の敗血症が疑われた場合は、B. fragilisのカバーが勧められ、これにはクリンダマイシンを上記の薬剤に併用するか(注:B. fragilisの約半数がCLDM耐性とされている現時点では、この対応は現実的ではないか?)、または単剤でイミペネムの投与を行う。
1960年代、ステロイド大量療法が、敗血症性ショックの一般的治療として登場した。
しかし、ステロイドの有効性は証明されておらず、かえって有害である可能性も指摘されている。(Natanson C 1990, Bone RC 1987, VA Systemic Sepsis Cooperative Study Group 1987)
大規模臨床試験の結果、エンドトキシン、TNF、IL-1に対する抗体療法を適用しても、重症敗血症、敗血症性ショック患者の予後は改善できなかった。
ICUブック第2版 P.417 - 420

ICUブック

ICUブック

  • 作者: PaulL. Marino,稲田英一,長谷場純敬,唐沢富士夫
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2004/03
  • メディア: 単行本
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