グルココルチコイド

副腎皮質では、①グルココルチコイド②ミネラルコルチコイド、③副腎アンドロゲン…の3つの主な系統のステロイドが産生される。
従って、正常な副腎機能は、①グルココルチコイドによる内因性の代謝と免疫応答の調節、②ミネラルコルチコイドによる血圧、循環血液量、電解質の調節、③アンドロゲンによる第二次性徴の調節…において重要な役割を果たしている。
食事由来および、内因性に合成されるコレステロールが、ステロイド産生のための基質である。
それぞれのホルモンは、副腎皮質の別々の層において合成される。それぞれの層では、おのおのの型のステロイドの合成に必要な酵素の遺伝子が選択的に発現している。
ステロイドは細胞膜を受動的に通過して細胞内受容体に結合する。ミネラルコルチコイド受容体に対してグルココルチコイドとミネラルコルチコイドが、ほぼ同等の親和性で結合する。しかしグルココルチコイド受容体には、グルココルチコイドだけが結合する。
言い換えると、グルココルチコイドは、ミネラルコルチコイド受容体とグルココルチコイド受容体の両方に結合可能である。
ステロイドが受容体に結合すると、ステロイド受容体の複合体は細胞の核に輸送され、ステロイドに制御される遺伝子の上流の特異的な領域に結合し、その転写レベルを調節する。
抗炎症効果など、グルココルチコイドによる作用の一部は、グルココルチコイド受容体を介して、種々のサイトカイン遺伝子を活性化する他の転写因子AP-1(activating protein)、NFκ-B(nuclear factor kappa-B)…が阻害されることによる。
グルココルチコイドには抗炎症作用があり、これはおそらく、微小血管系への作用と、炎症性サイトカインの抑制に関係しているものと考えられている。
グルココルチコイドは、成熟細胞の骨髄からの放出と、毛細血管からの漏出の抑制によって白血球を増加させる。
グルココルチコイドは、循環血中の好酸球およびリンパ球(特にT細胞)を他の組織に再分配することによって循環血中より枯渇させる。このようにして、グルココルチコイドは細胞性免疫を低下させる。
グルココルチコイドは、Tリンパ球によるインターフェロンの産生と作用および、マクロファージによるIL-1とIL-6の産生を抑制する。
グルココルチコイドの解熱作用は、内因性発熱因子と考えられるIL-1への作用によって説明できる可能性がある。
グルココルチコイドはまた、Tリンパ球によるIL-2の産生も抑制する

ハリソン内科学

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