腎盂腎炎の治療指針

Walter E. Stamm
NEJM (329) p.1328-, 1993より抜粋

急性非複雑性腎盂腎炎の臨床像は、グラム陰性菌による菌血症から、穏やかな側腹部痛を伴う膀胱炎様のものまで多彩である。
約80%以上がE.coliによるもので、その殆どが尿路に病原性を持った菌種である。
この菌種は、hemolysinとaerobactinを通常産生し、特異的な線毛(pyelonephritis - associated pili)を持つ。この線毛により、菌は尿路の上皮細胞に付着することが出来る。
膿尿、グラム陰性菌は通常認められるが、約20%では、尿培養の結果105 CFU/ml未満であり、グラム染色でも陰性となる。
全例で尿培養を、特に入院例では血液培養を行うべきである。
血液培養は、15-20%で陽性となる。
腎盂腎炎を起こす病原体の20-30%が試験管内でアモキシシリンと第1世代セフェム系薬に耐性であるため、これらの薬剤はエンピリック・セラピーにおいて用いるべきではない。
典型的には、症状は48-72時間後には改善するため、その後の治療は経口薬が使用可能である。
血液培養が陽性の場合であっても、2週間以上の治療によるベネフィットは認められない。
治療が終了してから2週間後の尿培養再検は有用である。