発熱患者

伝統的な正常体温である37℃は、19世紀後半に25000人の健康な成人の腋窩温に関する研究によって得られた平均値である。
高齢者では、若年者にくらべておよそ0.5℃低い。
正常体温は日内変動があり、早朝に最低値、午後遅くに最高値となる。

発熱は炎症性の徴候であり、感染の徴候ではない。
発熱反応は、炎症性サイトカインによって誘導される。
従って、発熱は感染の特異的反応ではなく、炎症性サイトカインの産生をひきおこす何らかの状態(組織の損傷など)に対する反応である。

軟性気管支鏡を施行された患者の5%に発熱が認められる。これは、TNFが血中へ放出されるためであると考えられている(Silver MR, Crit Care Clin 1995; 11: 97-109)

ICUにおける主な感染症は、肺炎、尿路感染症カテーテル敗血症である。
その他には、副鼻腔炎、無石胆嚢炎、偽膜性腸炎などがある。
非感染性のものとしては、薬物熱、SIRS、腸管梗塞、副腎機能不全などが発熱の原因となる。

<宿主の防御機構としての発熱>
高温は、細菌の発育やウイルスの増殖を抑制する。
Kluger Mらは1979年、感染した実験動物(ウサギ)において、体温が血中の細菌の発育に及ぼす影響を調べ、発熱が宿主の防御機構に有利に作用することを示した。
Kluger M, Science 1979; 203: 374-376

ICUブック第2版 P.399-411

ICUブック

ICUブック

  • 作者: PaulL. Marino,稲田英一,長谷場純敬,唐沢富士夫
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2004/03
  • メディア: 単行本
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