ラルテグラビルの効果と安全性

NEJM7月24日号に、インテグラーゼ阻害剤、ラルテグラビルに関する論文が2本続けて掲載されています。
1本目は、BENCHMRK-1、BENCHMRK-2という2つのスタディの結果をまとめたものです。

「耐性HIV-1感染に対するラルテグラビルと至適基礎療法」
Raltegravir with optimized background therapy for resistant HIV-1 infection.

背景:ラルテグラビルはヒト免疫不全ウイルス1 型(HIV-1)のインテグラーゼ阻害薬で、従来の抗レトロウイルス薬に感受性あるいは耐性を示すHIV-1に対して活性を有する。

方法:今回は、ラルテグラビルの安全性と有効性を評価するため、2つの同じ試験を、異なる地域で行った。3つの異なるクラスの抗ウイルス薬に対して耐性のHIV-1に感染し、治療が失敗した患者を対象とし、至適治療を併用したうえでプラセボ群との比較がなされた。

結果:2つの試験を合わせて,無作為化された患者 703 例中 699 例(ラルテグラビル群 462 例,プラセボ群 237 例)が試験薬の投与を受けた.2 つの試験の結果は一貫しており、いずれの試験においても、ラルテグラビル群はプラセボ群に対して優位に優れたウイルス抑制効果を示した。薬物に関連した有害事象の発現頻度は,ラルテグラビル群とプラセボ群で同程度であった.

NEJMのサイトで全文が読めますので、ご興味のあるかたはどうぞ↓。
http://content.nejm.org/cgi/content/full/359/4/339

ラルテグラビルは、これまでと異なる作用機序を持つことから、大きな期待を集めていますが、これまでのところ、効果、安全性ともに優れているようです。今後、初回治療などにも適応が拡大してくると、使用頻度の増加に伴い、思わぬ副作用の発現に注意する必要があるかもしれません。