黄色ブドウ球菌感染症

S.aureusは、2つのタイプの症候群を引き起こす。①中毒 intoxicationと②感染 infection である。

S.aureusは、成人の急性骨髄炎の原因菌の第1位であり、血行性に、もしくは周りの感染部位から直接骨に波及して発症する。
成人における血行性ブドウ球菌性骨髄炎の主体は椎体である。

S.aureus菌血症の合併症には、腹部内臓膿瘍、脳膿瘍、髄膜炎、敗血症性関節炎、骨髄炎、硬膜外膿瘍、細菌性動脈瘤などがある。

ブドウ球菌性菌血症における死亡率は、11-43%と報告されており、カテーテルが関与している感染は、カテーテルが関与していない感染よりも合併症と死亡率が低い。

ブドウ球菌細胞壁ペプチドグリカンは、補体を活性化させる一方で、炎症性サイトカインを遊離させる一般的な刺激因子としても働き、おそらく敗血症に寄与していると思われるが、グラム陰性菌のリポ多糖よりは、その働きは弱い。

S.aureusは、SE、TSST-1、ETを含む多数のスーパー抗原を産生する
• スーパー抗原はTCRのβ鎖を認識するため、個体中のT細胞の10%以上も刺激することが出来る。
• この大量のT細胞刺激により、IL-1、IL-2、TNF、IFN-γなどのサイトカインが遊離し、過剰で無調整の免疫反応が惹起される。
ブドウ球菌による敗血症性ショックの症候の一部も、同様にして起きると推定されている。