細菌

エンテロコッカス属

形態上は連鎖状の球菌であり、D群抗原性を示すことから、かつて連鎖球菌属に入れられていたが、その後の研究で、1984年にエンテロコッカス属として分離独立した。 本属のヒトへの感染の約80%はE. faecalisであり、残りのほとんどはE. faeciumによる。尿路感…

B. fragilis

クリンダマイシン、セファマイシン、メトロニダゾール、ペニシリン+βラクタマーゼ阻害剤、カルバペネム系薬に感受性の可能性がある。 最近、クリンダマイシン、セファマイシン系に耐性の株が報告されるようになってきている。 レジデントのための感染症診療…

PRSP

PRSPは”ペニシリン耐性”というよりも、 ”多少ペニシリンに対してMICが上がった”ものと理解する。 このため、通常の投与量で十分にそのMICを凌駕できる。 ただし、髄膜炎の場合は(移行の良い)第3世代セファロスポリンでないと、 髄液中の濃度でMICを上回る…

大腸菌

Escherichia(エシュリヒア) coli この属名は、1885年にこの菌を最初に分離したTheodor Escherichの名をとったものである。 もともとヒトや動物の腸管内常在菌の1つで、ビタミン類を産生して宿主に供給している。 病原因子の獲得により下痢をおこす下痢原…

莢膜 capsule

肺炎球菌、肺炎桿菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌などは、 菌体の周囲に染色されにくい層を認めることがあり、莢膜と呼ばれる。 これらの菌は厚い莢膜を持ち、貪食からエスケープする。 莢膜を構成する物質は、多くの場合多糖類であり、細胞壁、菌体成分には…

大腸菌

カテーテルや泌尿器的異常、および結石が無い患者においては、大腸菌が約80%の急性感染症をおこす。 他のグラム陰性桿菌、特にProteus属とKlebsiella属、ときにEnterobacter属は、非複雑性感染症の一部を占める。 発熱、CRP上昇はしばしば急性腎盂腎炎に伴…

インフルエンザ桿菌

1892年にPfeifferが初めてインフルエンザの原因菌として推察したが、結果的には誤認であった。 H.influenzaeは、好気的にも嫌気的にも発育する。 多糖体から成る莢膜に対する主要な6種類の血清型が同定されており、a-fまで命名されている。莢膜を欠除する株…

黄色ブドウ球菌感染症

S.aureusは、2つのタイプの症候群を引き起こす。①中毒 intoxicationと②感染 infection である。S.aureusは、成人の急性骨髄炎の原因菌の第1位であり、血行性に、もしくは周りの感染部位から直接骨に波及して発症する。 成人における血行性ブドウ球菌性骨髄…

レジオネラ感染症

自然界の水系、土壌に広く生息するグラム陰性桿菌。 アメリカ、フィラデルフィアのホテルで1976年7月在郷軍人の会があり、そこで原因不明の肺炎が集団発生し、221名中29名が死亡した。感染源はホテル屋上の空調機の冷却塔水であり、エアロゾルとして飛散した…