急性期蛋白

TNF-α、IL-1、IL-6によって産生が誘導される蛋白は、総称して急性期蛋白 acute phase proteinと呼ばれる。
これらの蛋白の中の1つ、C反応性蛋白は、ペントラキシン pentraxin蛋白ファミリーのメンバーに属する。
C反応性蛋白は細菌と結合したとき、細胞をオプソニン化するだけでなく、補体活性化の古典経路の最初の部分であるC1qに結合することにより、補体カスケードを活性化することができる。
CRPは細菌や真菌表面上のホスホリルコリンに結合するが、宿主細胞上の同様の構造には結合せず、それ単独でオプソニンとして働くと共に、C1qに結合することによって補体古典経路を活性化して細菌を溶解する。

SP-AとSP-Dは、サーファクタントAとDを示す。両者とも細胞表面に結合するコレクチンで、宿主による食作用を助ける。

食細胞によって産生されるサイトカインの最終的な遠隔操作は、白血球増加症、つまり循環する好中球の増加を誘導することである。
好中球は、二つの場から動員されてくる。①成熟好中球が多量に遊離される骨髄と、②好中球がゆるく内皮細胞に結合している血管壁からである。
このように、これらのサイトカインの効果は適応免疫が成立するまでの間、感染をコントロールすることに貢献する。

このように、IL-1、IL-6やTNF-αはともに肝細胞に働いて急性期蛋白を作らせ、骨髄内皮細胞に働いて好中球を放出させる。
急性期蛋白はオプソニンとして働き、オプソニン化された病原体の排除はさらに骨髄からの好中球の補給により促進される。

免疫生物学第5版 p.78-81

免疫生物学―免疫系の正常と病理

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