NF-κBのはたらき

NF-κBは、遺伝子調節タンパクで、大部分の炎症で重要な役割を持っている。
脊椎動物では、2種類のサイトカイン ①腫瘍壊死因子α(TNF-α)と ②IL-1が炎症に特に重要である。
これらのサイトカインは細胞表面受容体に結合し、ほとんどの細胞の細胞質に不活性型として隔離されているNF-κBを活性化する。活性化により炎症応答に関与する60種類を超える遺伝子の転写が始まる。

哺乳類には5種類のNF-κB、①RelA ②RelB ③C-Rel ④NF-κB1 ⑤NF-κB2があり、多様な二量体をつくり、それぞれに決まった組み合わせの遺伝子群を活性化する。

細胞質では、阻害性蛋白IκBが二量体に強く結合して不活性型にし、大型の蛋白複合体中に閉じこめている。
TNF-αとその受容体は、いずれも三量体である。
TNF-αあるいはIL-1のシグナルは最終的に、IκBを分解に至らせ、二量体を活性化する。
IκBが分解すると、NF-κBの表面にある核局在化シグナルが露出するので、NF-κBは核内に移動して遺伝子の転写を促進する。IκBのリン酸化は、特異的に働くセリン/スレオニンキナーゼのIκBキナーゼ(IKK)によって行われる。
NF-κBは、炎症誘発に関わる標的遺伝子に加えて、IκB遺伝子も活性化するので、これにより負のフィードバックが起こる。

細胞の分子生物学 P.898-899

細胞の分子生物学

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