「肺炎を繰り返した後、自然喀石した気管支結石の1例」

及川ら 日本呼吸学会誌 2008;46:126-130

気管支結石症は、呼吸器疾患中の0.1%-0.2%、喀血や血痰患者の0.8%程度にみられる、比較的稀な疾患である。
気管支結石の成因としては、
①石灰化リンパ節の気管支内腔への穿孔
②気管支内分泌物や吸入異物の石灰化
③気管支軟骨の石灰化
④全身性Ca,Pの代謝異常
⑤骨形成細胞の肺転移
…などが指摘されている。
本邦では、肺結核により石灰化したリンパ節が気管支内腔へ穿孔した例が多いと言われている。
リンパ節石灰化の主な原因としては、本邦では肺門リンパ節結核であるが、欧米ではヒストプラスマとされている。
気管支結石の好発部位は中枢側の太い気管支であり、特に中葉枝入口部付近が半数を占めている。
(権ら 気管支学 1996;18:437-442)
気管支結石の治療では、結石がみられてもすべてが治療適応ではなく、繰り返す喀血、感染などを起こす場合が対象とされている。
結石が小さく、可動性のあるものは内視鏡的処置の適応に、
大きく、周囲に強固にに癒着しているものは、手術適応となる。
(Galdermans D, Respir Med 1990;84:155-156)