莢膜 capsule
肺炎球菌、肺炎桿菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌などは、 菌体の周囲に染色されにくい層を認めることがあり、莢膜と呼ばれる。
これらの菌は厚い莢膜を持ち、貪食からエスケープする。
莢膜を構成する物質は、多くの場合多糖類であり、細胞壁、菌体成分には存在しない糖を含むことが多い。
莢膜は、菌体とは別個の抗原性を持ち、菌種の型別に応用される。
莢膜を持つ菌は感染に際し、食細胞の食菌作用に抵抗する。
また、莢膜は補体の代替経路の活性化を阻害して、補体成分によるオプソニン化を防ぎ、食細胞による貪食から逃れる。
従って、莢膜の存在はその菌のビルレンスに深い関係がある。
食細胞への抵抗性は、莢膜の持つマイナス荷電による反発力によるとの考えがある。
親水性であることも関係している可能性がある。
また、多糖であるために抗体産生作用が弱く、オプソニン抗体の産生が悪いことも理由に挙げられている。
感染後、莢膜に対する抗体が産生されると、抗体のオプソニン化作用により食細胞に貪食され、これらの菌は殺菌される。
戸田新細菌学 33版 P.49-50、212-213
- 作者: 吉田眞一,柳雄介,吉開泰信
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