インフルエンザ桿菌

1892年にPfeifferが初めてインフルエンザの原因菌として推察したが、結果的には誤認であった。
H.influenzaeは、好気的にも嫌気的にも発育する。
多糖体から成る莢膜に対する主要な6種類の血清型が同定されており、a-fまで命名されている。莢膜を欠除する株も見られ、分類不能型(non typable)とされる。
臨床的に最も良く見られるのはタイプbと分類不能型である。
タイプb(Hib)は原則的に6歳未満の小児に感染症を起こす。
分類不能型は、原則的には粘膜の病原体であり、局所性の侵襲性病変をおこす。
H.influenzaeはヒト固有の病原体で飛沫や分泌物や媒介物との直接的接触により伝播する。
分類不能型は最大で3/4の健常成人の上気道に定着している。莢膜を欠如しているため、その免疫反応は、莢膜抗原以外の抗原に対して起こる。
分類不能型H.influenzaeは、成人市中肺炎で第2番目に多い原因菌で、特にCOPDやAIDS患者でよくみられる。
もともと上気道の常在菌であるため、原因菌としての診断が困難となる。喀痰のグラム染色で多数の多核白血球中でグラム陰性桿菌が優勢であれば、分類不能型H.influenzaeの感染が示唆される。
ほとんどの患者の血液培養は陰性となる。
分類不能株の約25%は、βラクタマーゼを産生し、アンピシリンに耐性である。
現在のところ分類不能株のH.influenzae予防に有効なワクチンは存在しない。

ハリソン日本語版 P.973-974

ハリソン内科学

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