感染症

髄膜刺激徴候

Brudzinski(ブルジンスキー)徴候 患者を仰臥位にして頭部と頸部を胸部のほうに屈曲し、股関節と膝関節の屈曲を観察する。Kernig(ケルニッヒ)徴候 患者の片脚を股関節と膝関節で屈曲させる。 その状態から膝をまっすぐに伸ばし、抵抗や疼痛の有無に注意す…

肺アスペルギルス症の臨床像

”The Clinical Spectrum of Pulmonary Aspergillosis" Ayman O et.al Chest 2002;121 1988-1999アスペルギローマは、菌糸体、炎症細胞、フィブリン、粘液、壊死組織 …から成り、既存の空洞内で出来上がる。 1970年の調査によると、結核により空洞ができた患…

莢膜 capsule

肺炎球菌、肺炎桿菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌などは、 菌体の周囲に染色されにくい層を認めることがあり、莢膜と呼ばれる。 これらの菌は厚い莢膜を持ち、貪食からエスケープする。 莢膜を構成する物質は、多くの場合多糖類であり、細胞壁、菌体成分には…

細菌性髄膜炎に罹患したベトナム成人に対するデキサメタゾン

細菌性髄膜炎に罹患した成人全例が,デキサメタゾンによる補助療法から利益を得るかどうかは不明である. 細菌性髄膜炎が疑われる 14 歳以上の患者 435 例を対象に,デキサメタゾンに関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した. その結果、細菌性髄…

脾臓の働き

正常な脾臓の生理的な役割は以下に示すようなものである。 ①寿命となった、または欠陥のある赤血球を、赤脾髄において除去し、赤血球の質を保つ。 ②白脾髄で抗体を産生する。 ③抗体で被覆された細菌や血球を循環から除去する。また、正常な脾臓は、全血小板…

気腫性腎盂腎炎

CT上、腎実質や腎被膜下にガスを認めることが診断上重要である。 ガス像は腎周囲腔、傍腎腔から対側の後腹膜腔までおよぶことがある。 腎実質の破壊を伴うType1のほうが、腎実質か周囲に液体貯留・膿瘍を認めるType2よりも予後が悪いとされる。腹部のCT P.26…

急性腎盂腎炎のCT像

CTでは、造影後に単発性もしくは多発性の楔状の造影不良域としてみられることが多い。 感染に伴う浮腫と血管攣縮によると考えられている。 腎腫大もよくみられる。 腫瘤様の低吸収域としてみられることもある。 炎症は腎周囲腔にしばしば波及し、腎被膜やbri…

大腸菌

カテーテルや泌尿器的異常、および結石が無い患者においては、大腸菌が約80%の急性感染症をおこす。 他のグラム陰性桿菌、特にProteus属とKlebsiella属、ときにEnterobacter属は、非複雑性感染症の一部を占める。 発熱、CRP上昇はしばしば急性腎盂腎炎に伴…

肝嚢胞のCT像

内部が均一な、水の濃度(胃の内容と同じ)、境界が明瞭で造影される部分を持たない、腫瘤性病変として描出される。 壁は薄く、CTでは同定できない。多発することがある。一方、肝膿瘍の場合、辺縁が不整で内部の液体成分の濃度も不均一となる。 造影後に濃…

インフルエンザ桿菌

1892年にPfeifferが初めてインフルエンザの原因菌として推察したが、結果的には誤認であった。 H.influenzaeは、好気的にも嫌気的にも発育する。 多糖体から成る莢膜に対する主要な6種類の血清型が同定されており、a-fまで命名されている。莢膜を欠除する株…

マクロライド系抗菌薬

マクロライドとは、巨大なラクトン環構造を有する化合物の総称であり、そのサイズは10員環から48員環まで極めて多様である。抗細菌性のマクロライド系抗菌薬は10員環から16員環の範囲に限られている。 国内で1984年に発表されたクラリスロマイシンは、それま…

骨髄炎

血行性骨髄炎:経験的治療開始前に血液・骨組織を採取し、培養を行う 血液培養が陰性なら、骨組織の培養が必要。成人(>21歳)骨髄炎±硬膜外膿瘍 原因菌としてはS.aureusが最多だが、様々な原因菌がある。 硬膜外膿瘍の早期発見のため、MRIを施行する。MRSA…

急性期蛋白

TNF-α、IL-1、IL-6によって産生が誘導される蛋白は、総称して急性期蛋白 acute phase proteinと呼ばれる。 これらの蛋白の中の1つ、C反応性蛋白は、ペントラキシン pentraxin蛋白ファミリーのメンバーに属する。 C反応性蛋白は細菌と結合したとき、細胞をオ…

TNFーαの作用

マクロファージによって産生されるサイトカインは、局所作用として重要なだけでなく、生体防御に関わる遠隔作用も引き起こす。 これらの1つは体温の上昇で、主にTNF-α、IL-1、IL-6によって引き起こされる。 これらは内因性発熱物質と呼ばれ、細菌成分と異な…

嫌気性菌感染症

菌の発育に際し、O2の存在が増殖を阻害する細菌の総称。通常の培養法では菌は発育しない。 嫌気性菌は自然界に広く存在し、皮膚、腸管内、口腔内に好気性菌よりはるかに多量に常在菌として存在している。 呼吸器感染症を生じる際は、口腔内から気道内へ落下…

HIV感染症におけるカレトラの位置づけ

カレトラは米国保険福祉省(DHHS)のガイドラインにおいて、PIをキードラッグとしたレジメンの中で推奨薬の1つと位置づけられている。 カレトラをキードラッグとしてHAARTを継続していくうえでは、下痢、高脂血症・耐糖能悪化、精神科薬との併用、徐脈性不…

黄色ブドウ球菌感染症

S.aureusは、2つのタイプの症候群を引き起こす。①中毒 intoxicationと②感染 infection である。S.aureusは、成人の急性骨髄炎の原因菌の第1位であり、血行性に、もしくは周りの感染部位から直接骨に波及して発症する。 成人における血行性ブドウ球菌性骨髄…

血液培養

できる限り抗菌薬治療開始前に採取する。 異なる部位から、少なくとも2セット採取する。 1セットのみでは、表皮ブドウ球菌などが陽性である場合、contamination(汚染)によるものかどうか、判別困難である。また、2セット以上採取するほうが、1セットの…

血管内カテーテル感染

血管内カテーテルによる感染は ①輸液自体や輸液セットの汚染 ②挿入部位の創傷の汚染の進展 ③遠隔感染部位からの菌血症によってカテーテル先端に菌が付着し増殖する場合 …がある。原因菌としては、黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、カンジダ属が…

レジオネラ感染症

自然界の水系、土壌に広く生息するグラム陰性桿菌。 アメリカ、フィラデルフィアのホテルで1976年7月在郷軍人の会があり、そこで原因不明の肺炎が集団発生し、221名中29名が死亡した。感染源はホテル屋上の空調機の冷却塔水であり、エアロゾルとして飛散した…

ワクチンの接種間隔

異なるワクチン同士の間隔の場合、 ・生ワクチンの後は4週間、 ・不活化ワクチンの後は1週間 ...あける。 (主な生ワクチン:BCG、ポリオ、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘) 次に打ったワクチンに対する免疫反応に影響を及ぼす(=干渉)可能性があるため。…

体液におけるHIV伝染の危険性

伝染が報告されたもの ①血液、②母乳、③精液、④膣分泌物 伝染の可能性があるもの ①脳脊髄液、②腹水、③胸水 伝染が報告されていないもの 便、唾液、痰、汗、涙、尿病院では針刺し事故か、またはHIV感染患者の血液が直接粘膜に接触して HIVの伝染が起こる。 針…